来月は...
と言っても明日からですが、新聞の取材が1件と簡単な講演が1件、
そして懇親会が3件〜と入っています。
「何を話そうかな...」と整理しながら、最近感じたコトをそこはかとなく
書き綴りました。。。
「パターンに込められた思いを、いかに抽出できるか」
デザイナーとプロダクトの間にある共有ツールは
パターンと縫製仕様書です。このツールを介して、
生産情報を認識・理解〜作成に入りますが、
新進デザイナーの場合、長年の付き合いの中
[阿吽の呼吸]で進める得意先とは異なり、
ほぼ[一期一会]状態で工場と付き合わざるを得ません。
パターン&縫製仕様書に共通の統一ルールは存在せず、
既存アパレルと縫製工場はそれぞれ独自の慣れ親しんだ
形式を基に生産活動を行っています。
その関係に割り込んで工場アプローチをする訳ですから、
それ相応の準備が必要になります。
限られた短期間の中、ただでさえ難解なデザインを立体化
するには、お互いの情報提供〜共有、そして良好な
パートナーシップが必要になります。
[デザイナー側へのお願い]
★パターンと仕様書には、コレでもか!!と思うくらいの
情報量を添付して下さい。
〜1つでも不備があると、作成はストップしてしまいます。
仮に不備があっても製品が完成した場合、それはよほど
工場側が長けているか、そこを端折って進行したか
になります(多くは後者だと思われますが...)。
★工場に足を運んで、直接生産現場と話して下さい。
〜依頼先の工場の社長と話しても、ある意味徒労に終わる
場合が多々あります。社長と話した後に、直接現場の
スタッフと話して下さい。その製品を手に取り作り上げる
のは"現場のスタッフ達"ですから、[製品に対する思い]を
直接伝えて下さい。
〜"こだわりの部分"は、必ず伝えて下さい。
ルール付けのないパターンを、初対面で読み込むのは
大変な作業で、多くの労力を費やします。その作業の中で、
頭にイメージがあるのとないのとでは、出来上がりに
大きな差が出ます。
★バルク(量産)を想定したやりとりをして下さい。
〜サンプル作成を依頼した工場に量産もお願いしたい場合、
まずは量産見積りをとって下さい。
何タイプかのロットを想定して工場側に投げかけて下さい。
それに対する回答が、ある意味その工場レベルを知る手段
にもなります。
量産見積りをとると同時に、生産キャパを押さえる為に
アバウトでも投入スケジュールを打診して下さい。
逆に工場側から見ると、そういう質問のないデザイナーは、
「いったい幾らで作るのだろうか(上代設定はどうしたの
だろうか)」などという疑念を抱き、線引きをしてしまいます。
[工場側へのお願い]
★パターンの先にある"こだわり"をイメージングして下さい。
〜パターンなどの"目に見える生産データ"だけではなく、
デザイナー本人の考え方・思い・夢などを思い描きながら
作成にあたって下さい。
★パターンチェックの段階で、全ての問題点を改善する
くらい徹底的に詰めて下さい。
〜作業途中での問題発生は、大きなマイナスを生みます。
どんな些細な事でも質問して、不足するデータを抽出して
下さい。
〜仕様に関しても、さらに良い(素材にマッチングした)
副資材や縫製手順があれば、提案して下さい。
〜サンプル作成の場合でも、常にバルク生産を見据えた
提案をして下さい。
【結論として】
★良好なパートナーシップを作りましょう。
〜機械ではなく"機会が服を創造します"。
★両者に介在する"パターン"の勉強を、もっとお互いに
しましょう。
〜せっかくの高いパターン技術を習得しても、
入力側(デザイナー)と出力側(プロダクト)にレベルの差が
生じますと、結果的にはその技術は服に反映されません。
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