最近は難素材が多く、諸問題が発生しその対処に苦慮しています。
裁断〜縫製上の問題ならば特に苦としませんが、問題はその前段階〜
生地にあるから問題なのです。
デザインをシャープに見せつつ、着心地をシャープに見せる為に
どうしてもストレッチ素材が多くなります。
そうなると、ポリウレタン等の混率で生地の収縮率が様々な数値を示します。
川上の縮率データは、正直言いますとアテになりません。
果たしてどの部分の生地で試験をしているのか...
反物の巻き始め〜中〜終わりでも、テンションによって縮率の相違があります。
また、生地端と中。あるいはサンプル作成でカットされた生地とバルク反でも
厳密に言うと縮率は異なります。
最近は、生地の整理工場でもベテランが減ってしまい、整理精度が低下した
という声も耳にしたりします。
「川上データ3%まではOK」なんて暗黙のルールで生地出荷されますが、
その3%は、着丈・W寸(タテヨコ寸法)が90cmの場合、2.7cmの縮みとなります。
製品になった場合の寸法の許容範囲は、多くてパターン寸法の±1cmで
1%以内となります。
素材誤差が3%で、製品誤差が1%です。
正確な収縮データが工場内で抽出できたら、それなりの手を加えて基準ないの
寸法に製品を仕上げるコトが可能(それも手間とコストが掛かる)ですが、
最近の問題は、そんな単純なコトではありません。
工場ならば普通に経験しているのですが、困ったコトに...
色毎に縮率が異なるのです。
それでも熱収縮で収まれば、上記"それなりの手"で対処できますが、
蒸気収縮の場合だと手の打ちようがありません。
色毎に縮率を考慮したパターンを作成し、色毎に裁断する...
なんてことはコストの問題上、不可能です。
※広大な敷地を有する縫製工場では、スポンジングマシンを装備した
縫製工場もありますが、現状では極めて稀な例となっています。
この場合、どうしますか?。
総裏仕様ならば縫い代での微調整をしますが、裏無し仕様になりますと
そういう訳にもいきません。
matsunokiの師匠は言いました。
「要するに小さくしたいか、大きくしたいか、だな」
まさにその通り!!。
<<建設的な対処法>>
1.生地別に収縮データをとり、先方生産部と調整を図る。
2.収縮データを基に、先方パタンナーとサイズ調整を図る。
※要するに、
問題は工場内に溜めずにアパレル側と情報を共有して、
一緒になって問題を解決する
です。
製品の行き着く先は、アパレルではなくお客様である...
というコトを常に認識し、
我々はその流れの一部を担っている...
というコトを自覚するコトです。
近い将来、国内ファッションビジネスにも要求される
「サプライチェーンの再構築」
に、繋がる部分でもあります。
ラベル:生地
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