久しぶりに、悲しく泣ける小説に出会いました。
百田尚樹[永遠の0ゼロ]
2006年に刊行されていますので、既読の方も多いと思います。
0ゼロとは...
太平洋戦争初期(正確には中国戦線時より)に空を制覇した、
日本海軍航空隊の零式艦上戦闘機のコトです。
太平洋戦争の終戦直前までの零戦の活躍と終焉を、
一人のパイロットを通じて史実に忠実に描いています。
「特攻隊ってテロリストらしいわよ」
[第一章/亡霊]に登場する会話ですが、特攻隊が9.11テロと
同等に扱われているコトに、驚きを隠せませんでした。
読み進めるにつれ、驚きは悲しみ、そして怒りに変わっていきましたが。。。
この時代の史実に多少詳しいので、プロローグに登場する
[近接(VT)信管]などから、作者の緻密な構成力を感じとりました。
同時に、米国との歴然たる工業力の差を書き表すコトで、
太平洋戦争が如何に無謀な戦争であったか...を伝えきりました。
知らなかった事実が一つありました。
・真珠湾第三次攻撃
・珊瑚海海戦
・第一次ソロモン海戦
・レイテ海戦
太平洋戦争の数々の「if(もしあの時...だったら)」が、
全て将の名のつく作戦司令官の成果主義、点数主義だったコトを。。。
作者の警鐘は、この時代の史実だけでなく未だに根強く残る、
[官僚主導主義]の批判へと繋がっています。
中国への対応など、場当たり的で責任の所在をなすりつける姿を見るにつけ、
「一体、日本の国をどこに持って行こうとしているのか...」
話は、読後感から逸れました。
「霞ヶ関の作戦参謀の皆様、国内縫製業界というポジションは...
消耗品ですか?。それとも備品ですか?。
繊維業界を再生するポイントは、そんなに低いんですか?」
更に大きく逸れました。。。