2/14(日) バレンタインにも不況の波が
セル生産の発展型について、その前提となった弊社の状況を前記で述べましたが、
今回はそのまさに現場である[縫製部門]について、お話しさせていただきます。
セル生産は、1人が1着を完全に丸縫いする方式です。メリットとしては、
縫製技術・パターン理解力の向上、服作りの責任感・プライドを持つ、
多品種小ロットに即時対応などが挙げられますが、
逆にデメリットとしてまして、
品質に個性という多少のバラツキが生じる、欠員をカバー出来ない、
などが挙げられます。
下記のデメリットは改善により解消出来ますし、セル生産方式を発展させる事により、
メリットを最大限に生かした効率的でよりフレキシブルな対応が可能となります。
セル生産を説明するにあたり、よく次の言葉を用います。
「セル生産は、晩御飯を作るのと一緒」夕食時、パートを終えた奥さんが17:00に帰宅...
自宅にはお腹を空かせた育ち盛りの子供達と、「18:30にまっすぐ帰るよ」
とご主人から電話。。。
「外で済ませてから帰宅して欲しい」と願いながらも(笑)、残された時間で
晩御飯の支度に取り掛かります。
18:30に食卓に並べるのに、温かいものは温かく、冷たいものは冷たく
同時に調理しなければなりません。
まさにこれは工程分析と一緒でして、そのパーツの工程数を鑑みながら
どの時点でアッセンブリ―に必要となるか、無駄が無いよう組み立てるのです。
リードタイムを考慮した工程分析表が、まさに晩御飯の調理の順序と
同じ考え方になるわけです。
これは全般的な工程分析の話なのですが、セル生産の場合はさらに
調理方法にリンクします。
セル生産の場合、アイロンをまな板・ミシンをコンロに例えます。
例えばニンジンを何種類かの料理に使おうと思った時に、その料理に合わせた
切り方を調理のタイミングに合わせてその都度まな板を使う方はいません。
スープ用にいちょう切り・炒め物用に乱切り・サラダ用に千切りと、
一気にまな板で調理するはずです。
如何に(移動しないで)無駄なく調理するか...という改善を、奥様方は
毎日自然と実践されているのです。
セルの作業は、縫製も調理も"移動"という間接時間が作業時間の中で
かなりのウェイトを占めますので、[如何にその時間を短縮出来るか]
という事が重要になります。
縫製現場におきましては、工程分析表を作業手順に割り付けします。
その際には、多少リードタイムを無視してでも後工程に使う同一作業を
前倒しして集約し、移動時間を短縮します。
またミシン作業中でも、次工程が手作業でそれがアイロンに移動しなくても
済むのであれば、座ったままハサミを使ったりします。
例えば、前入れ(フロント地縫い)をした後、座ったままハサミで片ざらいして
すぐに内コバ縫いをする〜という1例が挙げられます。
いずれにしましても弊社縫製スタッフは、パターンと縫製仕様書から
瞬時に工程分析〜割り付けをして作業にあたっています。
これは「毎日1着ずつ丸縫いする」という経験値の積み重ねが成せる、
総合的技術力の賜物です。
その後に追随するまとめ〜検品〜仕上げプレスも、全てパターンと
縫製仕様書の[完全な設計図]を理解したスタッフが対応する事で、
弊社のINからOUTまで一貫した服作りの思いが、完成した服に
込められます。
(次号は、[発展型]について述べさせていただきます)